本文是一篇日本留学生论文,本稿以《BTSJ日语自然会话语料库2020年版》为调查资料,从分类、位置、功能等方面考察了亲疏关系引起的日语中断发话的特征,但还需要进一步考察。
第 1 章 先行研究
1.1 割り込み発話の定義
割り込み発話はどんな言語行動を指すのだろうか。なぜ割り込み発話は日常会話においてよく起こるのだろうか。本節では、割り込み発話の定義を明らかにする。
Sacks et al.(1974)は会話において人はターンの構成単位最初の発話の順番の移行が適切となる場所即ち話者交替適格所(以下 TRP と記す)で話者を交替しながら、「一人ずつ話す」という会話分析の中で主要と思われる会話の順番取りシステムというメカニズム(話者交替(turn-taking)のルール)④を提出した。山田 (1999)はそれを「会話の基本的単位を一つの発話の順番(以下ターンと記す)とすると、一つのターンにおいて、一人が話し、同時に、話し手の交替が何度も起こる」と解釈している。Sacks et al.(1974)は割り込み発話をこのルールを破るケースであると扱ってきた。それを参照し、割り込み発話を考察して新たに定義した研究がさまざまある。これまでの研究として、生駒(1996)、藤井(1998) 、深澤(1999)、町田(2002)、長谷川(2005) 、陳(2017)などが挙げられる。
生駒(1996)は日本語会話に現れた「発話の重なり」を研究対象として分析を試みた。そして、割り込み発話を先行話者が話している途中において、もう一人の会話参加者が割り込んで話すことによって起こる発話の重なりだと述べている。
また、藤井(1998)は日本語割り込み発話における日本人男女のインターアクションの傾向と違いについて考察した。そして、藤井(1998)によると、「会話における割り込み発話は相手の発話の途中で他の参加者が、発話(単に聞いていることを示す短いあいづち⑤を除く)を開始する現象である」という。
1.2 割り込み発話の分類、位置と機能
本節では、主に日本語会話における割り込み発話に関する先行研究について検討する。先行研究では、割り込み発話の分類、位置、機能に関する考察が多いことが分かる。以下では、主にこの三つの側面から先行研究を概観する。
まず、日本語日常会話における割り込み発話の分類に関する研究について論じる。例としては、生駒(1996)、深澤(1999)、稲垣(2000)、賈(2008)、李(2011)、陳(2017)などが挙げられる。
生駒(1996)は割り込みの目的によって割り込み発話を「内容予測」、「自己の発話の優先」、「妨害目的」、「副次的なターン」の四種類に分類している。具体的には、以下のようにまとめている。
①内容予測:先行発話の途中において、続きの発話の内容が予測できたもう一人の会話参加者が発話の終わりを待たずに、先行発話者への反応を示すために割り込む場合。
②自己の発話の優先:先行発話の途中であるが、もう一人の会話参加者が自らの発話を優先させて行おうとして割り込む場合。
③妨害目的:先行発話を妨害する目的で割り込む場合。
④副次的なターン:先行発話の途中において、一時的にターンを取るために割り込む場合。
深澤(1999)は割り込みが起こる位置や話し手と聞き手の立場、非言語行動との関わりなどの様々な側面から割り込み発話を考察した。そして、話し手や聞き手がターンを完了したかしないかなどによって割り込み発話を五種類に分類している。深澤(1999)は表 1のようにまとめた。
第 2 章 調査資料と分析方法
2.1『BTSJ 日本語自然会話コーパス 2020 年版』について
『BTSJ 日本語自然会話コーパス 2020 年版』コーパスは、国立国語研究所コーパス開発センターにより開発されたものである。実際本コーパスには、五つ⑧の前身となるコーパスがあるが、本稿で利用するのは 2018 年度に続き、国立国語研究所のプロジェクトの成果として新たに 44 会話 780 分 32 秒(約 13 時間)のトランスクリプトと音声データを追加し、合計 377 会話、総時間 5526 分 56 秒(約 92 時間)の会話が収録されている 2020 年版である。そのうち音声付きデータは 247 会話、3182 分 54 秒(約 53 時間)である。
データが豊かである以上に、『BTSJ 日本語自然会話コーパス 2020 年版』にはさらに三つのメリットがあると言える。
一つ目は、会話参加者の年齢、性別、話題を収録しており、さらに各会話グループのデータ収集条件や話題、話者の属性の情報も提供している。そのため、グループごとの収集目的と条件を確認した上で、研究目的に応じ、話者の属性や対話相手との関係などの、話者の話し方に大きな影響を与える社会的要因を考慮に入れた分析をすることが可能である。二つ目は、発話の重なりや間、フィラー、沈黙、割り込み発話などの他のコーパスにはない、語用論的分析に不可欠な情報を付与する BTSJ2019 年改訂版を収録することである。三つ目は、集計などの定量的分析を行うことができ、『BTSJ 文字化入力支援・自動集計・複数ファイル自動集計システムセット 2019 年改訂版(以降、BTSJ システムセット)』(宇佐美,2019)と連動させていることである。
簡単にまとめれば、『BTSJ 日本語自然会話コーパス 2020 年版』はシナリオのない自発的な自然会話を接触場面及び母語場面の初対面同士の会話や友人同士の会話、教師と学生の論文指導場面などのサブ・グループごとに、性別や年齢を条件統制して収集し、1 会話20 分程度の会話データをまとめたものである。また、『BTSJ 日本語自然会話コーパス 2020年版』に付与された会話は、他のコーパスに収録されていない情報が分析しやすい形で提供されていることが明らかである。このコーパスのデータの豊かさと分析の簡易さは本稿の研究に大いに役に立つと言っても過言ではないだろう。
2.2 データの選定基準
2.1 節で述べたように、『BTSJ 日本語自然会話コーパス 2020 年版』に収録された会話は、一つのフォルダにまとめられた「会話グループ」ごとに、会話収集の目的や、話者や会話の条件が記されている。会話参加者の年齢、性別、話題などが統制された形で集められているが、本稿は親疎関係な観点から比較研究を行うため、「会話グループ」の初対面同士の会話と友人同士場面における会話データだけを選定することにする。その上、割り込み発話の分析のため、選定した会話のジャンルは日常の場でよく行われている最適な雑談という自然会話データである。具体的には、友人同士場面における雑談会話は合計 10 会話、総時間 227 分 31 秒であり、初対面同士の会話場面における雑談会話は合計 10 会話、総時間 169 分 23 秒である。合わせて 20 会話 396 分 54 秒である。本稿で『BTSJ 日本語自然会話コーパス 2020 年版』から選定した代表的なコーパスの会話群の概要は表 5 に示す通りである。
本研究は『BTSJ 日本語自然会話コーパス 2020 年版』を利用し、文字化などの作業を行わなかったため、割り込み発話を判断する大切な基準となるターンの認定について述べる必要があると考えられる。詳しくは主に BTSJ2019 文字化原則の中にある 1 発話文の定義を踏まえ、ターンを認定し、さらに割り込み発話に判断する。
まず、本研究の分析単位となるターンの定義について論じる。杉戸(1987)は Sacks et al.(1974)に従い、ターンを「一人の参加者のひとまとまりの音声言語連続で、他の参加者の音声言語連続やポーズによって区切られるものである」としている。また、山田 (1999) はターンを「会話の基本的単位を一つの発話の順番」と定義している。これまでターンの定義や分類などに関する先行研究が多いが、そのまま引用すると、実際の研究対象や研究方法に格差が生じる可能性があるため、ターンの定義について再考することはある。それでは先行研究に基づいてターンを改めて解釈する。
第 3 章 割り込み発話の分類 ........................... 15
3.1 分類についての考察 .................................... 15
3.2 親疎関係による使用実態 ............................... 19
3.3 まとめ ................................... 22
第 4 章 割り込み発話の位置 ........................... 23
4.1 位置についての考察 .................................. 23
4.2 親疎関係による使用実態 ........................... 25
4.3 まとめ ................................... 27
第 5 章 割り込み発話の機能 ................................. 28
5.1 機能についての考察 ............................................ 28
5.2 親疎関係による使用実態 .................................... 35
5.3 まとめ .......................................... 42
第 5 章 割り込み発話の機能
5.1 機能についての考察
本節では、『BTSJ 日本語自然会話コーパス 2020 年版』の調査結果による割り込み発話の機能の考察について述べる。
先行研究のところで論じているように、割り込み発話の機能の種類についての分類がさまざまある。陳(2017)によると、「協調的な割り込み」が、先行話者の発話権を奪い、相手の発話を妨害するような発話として捉えているのに対し、「支配的な割り込み」は相手の発話権を取るわけではなく、相手への共感を示したり、先行話者とともに会話を構築したりして相手の発話を促進するものとして捉えられるという。本稿では稲垣(2000)と陳(2017)の分類基準を参考にして割り込み発話と会話の進行及び人間関係の維持との関係をもとに、さらに後続発話が先行発話に対して担っている機能を総合的に判断しつつ、割り込み発話の機能を大きく「積極系」と「消極系」に再分類する。「積極系」は先行話者の発話を優先し、会話の進行を促進したり、場の雰囲気を良くするためのような積極的な役割を果たす割り込み発話を指すのに対し、「消極系」は話し手の自身の発話を優先させ、会話の進行を妨害したり、相手の気分を害するような消極的な役割を果たす割り込み発話である。そして、それぞれの下位分類は、長谷川(2005)と陳(2017)を参考にして表9 のように設定する。具体的には、「積極系」には「フィードバック」、「完結•補足」、「確認•関連質問」、「情報追加」、「先取り応答」、「話者助け」の六つがあり、「消極系」には「新情報提示」、「総括」、「訂正•反論」、「継続戻し」の四つがある。
終章
6.1 本研究の結論
本研究では、親疎関係による割り込み発話を把握するために、『BTSJ 日本語自然会話コーパス 2020 年版』を調査資料とし、分類と位置と機能の視点から日本人友人同士の会話と初対面同士の会話の特徴を包括的に考察した。
今回の研究結果から明らかになった具体的な結果は以下のようにまとめられる。
第一に、『BTSJ 日本語自然会話コーパス 2020 年版』から選定した会話例文から見出した割り込み発話の数は合計 638 例であった。そのうち、初対面同士の会話における割り込み発話は 280 例であり、友人同士の会話における割り込み発話は 358 例であった。この結果から、親疎関係という社会要素が割り込み発話に影響を与えていることが明らかになった。一方、初対面同士の会話における割り込み発話の頻度がそれほど少なくないことも分かった。
第二に、初対面同士と友人同士の会話場面における割り込み発話を分類、位置、機能の側面から使用実態や特徴を明らかにした。
①割り込み発話の分類については、先行研究に基づき、「成功した割り込み発話」と「失敗した割り込み発話」に分けた。そして、「失敗した割り込み発話」の下位分類には「ターンの並列」、「ターンの挿入」と「早めに開始したターン」がある。場面差に注目すると、初対面同士の会話場面より、友人同士の会話場面のほうが割り込みやすい傾向が窺えたが、それほど大きな差ではなかった。また、分類による両場面の出現回数と頻度を比較してみると、両場面ともに「失敗した割り込み発話」の頻度が高いことが分かった。分かった。一方、初対面同士の会話場面よりも友人同士の会話場面における「成功した割り込み発話」のほうが圧倒的に多いことも明らかになった。
②割り込み発話の位置については、「ターンの末尾」、「先行発話の開始直後」、「ターンの中に短いポーズがある箇所」、「ターンの中に短いポ一ズがない箇所」に分け、分析を進めた。両場面における割り込み発話の位置の傾向はほぼ一致していた。友人同士の会話では、「ターンの中に短いポ一ズがある箇所」>「ターンの末尾」>「ターンの開始直後」>「ターンの中に短いポ一ズがない箇所」になり、初対面の会話では、「ターンの中に短いポ一ズがある箇所」>「ターンの末尾」>「ターンの中に短いポ一ズがない箇所」>「ターンの開始直後」となった。どちらの場面でも「ターンの末尾」と「ターンの中に短いポーズがある箇所」で割り込みやすいが、初対面同士の会話では「ターンの開始直後」での割り込み発話はあまり見当たらなかった。
参考文献(略)